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AI音楽の動向を、編集者の視点で読み解く。ファクトを編集判断で意味付けし、業界の文脈に接続する。
「AIスロップが多すぎる」——ハイレゾ配信Qobuzが人間キュレーションを武器に45%成長した理由
フランス発のハイレゾ配信サービスQobuzが月間アクティブユーザー120万人を突破し、2025年の収益を45.7%増加させた。背景にあるのは、AIが生成した楽曲(いわゆる「AIスロップ」)を排除するという明確な姿勢と、アルゴリズムに頼らない人間編集者によるキュレーションだ。SpotifyやApple Musicが台頭するストリーミング市場で、「小さな新参者」がなぜ急成長できたのかを読み解く。
「The Puerto Rico Song」現象——Sunoで作ったAI曲が夏のアンセムになるまで
ピッツバーグ在住のビル・スティテラーが、旅行で感じたプエルトリコへの愛をSunoに打ち込んだら、46,000本以上のTikTok動画が生まれた。チャーリー・プースもルーク・コムズも踊り出したそのAI曲は、「AI音楽は本物か」という問いを超えて、文化の受容とリミックスについての会話を呼び起こしている。
Spotifyが人間編集者を前面に出す——AIの時代に「顔の見えるキュレーション」が2倍の反応を得た理由
Spotifyが看板プレイリスト「New Music Friday」に人間編集者による動画解説を導入した。昨年9月のテスト運用では、編集者主導の発見体験がセーブ・いいね数で通常比2倍以上のエンゲージメントを記録。AIが音楽生成も推薦も自動化しようとする中で、Spotifyが示したのは「誰が選んだか」という問いへの答えだ。
「声」をトレードマークに——ライオネル・リッチーがAIディープフェイク対策の新手法を採用
ライオネル・リッチーが6月11日、自らの声をトレードマークとして登録するための申請を米特許商標庁(USPTO)に4件提出した。テイラー・スウィフトに続く動きで、著作権法とは別の法的ツールでAI音声クローニングに対抗しようとする試みだ。法的ハードルは高いが、成功すれば「声をブランドとして守る」という前例になりうる。
1200万曲、91年分——The Atlanticが発見したAI音楽モデルの学習データセット
The AtlanticのライターAlex Reisnerの調査報道が、AI開発者コミュニティで共有されている巨大音楽データセット4種を発見した。最大のものは1200万曲で「聴き終わるのに91年かかる」規模。テイラー・スウィフト、ビートルズ、マイルス・デイヴィス——著名アーティストの楽曲が含まれており、GoogleやStability AIが一部の公開データセットをAIモデルの学習に利用していたことも確認されている。
15歳の手書き歌詞が、AIの声でよみがえる——故ラッパーEyedeaの遺作アルバムが問うもの
2010年に28歳で亡くなったアンダーグラウンドラッパーEyedeaの「新作」アルバムが2026年2月にリリースされた。制作したのは彼の母親。素材は彼が15歳のころに書いた手書きの歌詞ノートで、声はAIクローンで再現された。愛情から生まれた作品が、AI音楽の倫理的な問いを正面から突きつけている。
UMG・Sonyの「6万1千曲追加」をSunoが法廷で拒否——フェアユース先行判決を求め、訴訟の常套手段と正面から戦う
6月4日、SunoはUMG・Sonyによる著作権訴訟への6万1,026曲追加申請に反論する書面を提出した。Sunoは「これは大手著作権ホルダーのお決まりの手順だ」と述べ、訴訟を膨張させる前に自社のフェアユース防御を先に審理するよう求めた。Udoが業界パートナーへと転じる一方、Sunoは法廷での決着を選んだ。
「許可を先に」を貫いたAI音楽スタートアップKLAY——今夏ローンチに向け、業界全体の信頼を先行取得
今夏ローンチ予定のAI音楽プラットフォームKLAYが、業界内で静かに注目を集めている。3大メジャーレーベル(UMG・Sony・WMG)との録音権・出版権ライセンスを2025年11月に締結済み。6月には全米音楽出版社協会(NMPA)との原則合意も発表された。「許可なき学習」が常態化するAI音楽業界で、出発前に全ての許可を取る稀なプレイヤーとはどんな会社か。
ラジオでAI楽曲が流れている。リスナーは知らなかった——BBCが問う「開示なき放送」の是非
北アイルランドのローカルラジオが、AI生成の楽曲を「普通の曲」としてプレイリストに加えて放送していたことが明らかになり、SNSで激しい議論が起きた後に削除された。BBCがこの問題を報道し、改めて問われているのは「AI楽曲を放送・配信する際に開示義務はあるのか」という点だ。
「ワンコーラスだけ」がAIで勝手にフルコーラスに——大原ゆい子「無職転生III」OPが受けた新種の侵害
シンガーソングライター・大原ゆい子のスタッフ公式Xが6月10日、公式が公開したワンコーラスの音源をAIで無断フルコーラス化した動画がYouTubeなどに拡散していると警告した。本人クレジットまで入れて公開する悪質な手口で、アニメ「無職転生III」のOPテーマ「決意の唄」が被害に遭った。従来の『AIカバー』とは異なる、本人楽曲の未公開部分をAIで補完するという新しいパターンだ。
JASRACが生成AI音楽の著作権ガイドライン公表——「AI作曲・人間作詞」は管理する、「全AI生成」は管理しない
日本音楽著作権協会(JASRAC)が2026年6月11日、生成AIを利用した音楽作品の著作権管理についてのガイドラインを含む特設ページを公開した。「人間の創作的寄与があるかどうか」を基準に管理対象を線引きし、作詞か作曲の一方がAI生成であっても、もう一方に人の創作がある場合はその部分を管理する方針を明確にした。AI音楽に関わるクリエイターにとって、自分の作品がどう扱われるかを知るうえで重要な内容だ。
NMPAがUdioと「業界初」の全体ライセンス合意——KLAYとも原則合意、AI音楽の法的グレーゾーンに出口が見えてきた
全米音楽出版社協会(NMPA)が6月10日、AI音楽プラットフォームUdioと業界横断のライセンス契約を締結したと発表した。「メジャーなAI音楽会社との初の業界全体ライセンス」と銘打たれ、楽曲(出版権)と音源(隣接権)を対等に評価した初のケースとされる。あわせてKLAYとの原則合意も公表された。
ライバルは買わなかった。DeezerがAI検知ツールを全リスナーに無料開放した理由
DeezerがAI生成楽曲を検知するツールを無料公開した。SpotifyやApple Musicのプレイリストを含む20のプラットフォームに対応している。他のストリーミングサービスへの技術ライセンス販売が不発に終わった末の、リスナーへの直接解放だ。
WMGがAIアトリビューション企業Sureel AIを買収——「誰の声がAIに使われたか」を追跡する技術がメジャーの傘下へ
Warner Music Groupが、AI生成コンテンツの学習元をトレースする「AIアトリビューション」技術のスタートアップ、Sureel AIを買収すると発表した。アーティストの声・顔・スタイルがAIモデルにどう使われたかを追跡し、対価を分配する仕組みを構築してきた企業だ。3大メジャーがAIスタートアップと提携を積み重ねてきた中、買収という形で自社に取り込むのはWMGが初めてとなる。
「俺たちはただ盗まれていた」——Stick FigureのAIブートレガー事件が示す、もうひとつの傷
SoCal発レゲエバンドStick Figureの2019年曲がAIで「別の曲」に作り変えられ、Shazamで2位まで急上昇した。AI音楽の問題はトレーニングデータや著作権訴訟だけではない——ツールを使ってミュージシャンの音楽を盗む、古くて新しい詐欺の話。
YouTubeに上げた曲は、GoogleのAI学習に許諾済み——Lyria 3訴訟でGoogleが持ち出した「ToS防衛」
GoogleがAI音楽モデル「Lyria 3」をめぐる著作権訴訟で、フェアユースではなく「YouTubeの利用規約が学習を許諾している」という異例の反論を展開した。インディーアーティストがYouTubeに自らアップロードした楽曲は、同規約によってGoogleのAI学習に使用することが許諾されている——そう主張している。この論理が通れば、YouTubeに音楽を上げた事実が即ちGoogleへの学習許諾になる。
公式曲を超えたAIアンセム——W杯2026、世界中のファンが「作り手」になった
FIFAが著名ミュージシャンに依頼した公式アンセムより、ファンがAIで作ったチームソングの方がSNSで盛り上がっている。W杯2026直前、聴き手が一斉に作り手に変わる現場を追う。
判事が封印命令を取り消した——Udoの訓練データ件数、公開記録に残る可能性
UdioがSonyとの著作権訴訟で求めていた「訓練データ件数の非公開」が、連邦判事によって取り消された。先日のSunoに続く封印申請だったが、Hellerstein判事は一言で退けた。訓練データの件数が公開記録として残るかどうか、改めて通常の手続きで争われることになる。また、Udoが訓練データにYouTubeの音声を使用していたことも明らかになった。
AIが自動で差し止め通知を送る——UMGの「著作権クローラー」特許が描く未来
ユニバーサル ミュージック グループが、AIを使って著作権侵害を自律的に検出し、人間の介在なしに差し止め通知を送るシステムの特許を申請していることがわかった。AI音楽を作るのも、取り締まるのも、AIになろうとしている。
「自分の音楽」が弾かれる——SunoのAI検知システムが生む創作の逆説
Sunoは著作権訴訟でフェアユースを主張しながら、自社の検知システムではユーザーが自分で作った音楽さえも「既存の著作物に一致する」としてブロックしている。修正のめどは立っていない。
著作権を取り戻せなかった——2 Live Crew敗訴が問う、AI時代の「権利回収」の限界
6月2日、米連邦控訴裁判所が2 Live Crewの著作権終了権行使を無効と判断し、5枚のアルバムはレーベルに残ることが決まった。アーティストが自分の音楽を取り戻す権利——AI時代にその意味はかつてなく大きくなっているが、この判決はその道がいかに険しいかを示した。
「近々公開」のSuno×Warner製品とは何か——ライセンスAI音楽の最初の輪郭
6月3日のSunoの資金調達発表の中で、CEOがBloombergに語った一言が気になる。『今後数ヶ月以内に、音楽業界との提携で開発した最初の音楽モデルを公開する』。Warner Music Groupとの共同製品は、Warnerの楽曲を「参照・取り込める」SunoになるとBloombergは報じた。UMGとSonyとの訴訟が続くなかで生まれる、最初のライセンスAI音楽製品の意味を考える。
Udoも「訓練データの件数は企業秘密」——Sunoに続く非公開申請で、パターンが見えてきた
6月1日、UdioがSonyとの著作権訴訟においてAI訓練データの件数封印を申請した。Sunoが5月29日に同様の申請をしてから数日後のことだ。両社がほぼ同じ理由・同じ構成で動いたことで、これは個別の戦略ではなくAI音楽業界の「定石」になりつつあることがわかってきた。
AI和解金はミュージシャンに届かない——アメリカ音楽家連盟がUMGとWMGを提訴
アメリカ音楽家連盟(AFM)が、UMGとWMGを相手取った訴訟を起こした。両レーベルがAI音楽ジェネレーターとの著作権訴訟を和解で終結させたにもかかわらず、楽曲のレコーディングに参加したミュージシャンへの補償を拒否したというのがその理由だ。訴訟が解決されても、金が届かない人たちがいる。
GoogleがMagenta RealTime 2を公開——「生成AIで曲を作る」ではなく「AIを楽器として演奏する」という選択
Google DeepMindのMagentaチームが、ライブ演奏用の音楽AIモデル「Magenta RealTime 2(MRT2)」を公開した。200ms以下のレイテンシでMIDIや音声・テキストに即応し、MacBookで動作するオープンウェイトモデル。SunoやUdioのような「プロンプトから曲を生成する」AIとは根本的に異なるアプローチが、AI音楽のもう一つの可能性を示している。
「Say No To Suno」を飛行機で投資家に届けた日——54億ドルの資金調達発表と同日に起きた抗議
Suno CEOが登壇する投資家サミットの上空に、アーティスト権利団体が飛行機を飛ばした。バナーに書かれていたのは「SAY NO TO SUNO」と「STEALING MUSIC IS BAD KARMA」。54億ドルの資金調達が発表された同じ日に起きた、象徴的な対立の光景。
2億5300万曲の墓場——Deezerがトリアージを始めた日
ストリーミングにある2億5300万曲のうち、88%は年間1000回未満しか再生されない。そこに毎日7万5000本のAIトラックが流れ込んでいる。Deezerは4月、AIトラックのハイレゾ保存をやめた——プラットフォームが初めてカタログの「選別」に踏み込んだ、その意味を考える。
Sunoが4億ドル超を調達、評価額54億ドルへ——訴訟の渦中でも止まらない成長に投資家が賭ける
AI音楽生成サービスのSunoが、シリーズDで4億ドル超を調達した。評価額は54億ドル(約8,100億円)で、7ヶ月前の24.5億ドルから倍以上に膨らんだ。UMGとSonyとの著作権訴訟が続くなか、投資家はなぜこれほどの資金をAI音楽に投じるのか。
AIで音楽を作る次の壁は「見せること」だった——Neural Frames、4万人超のミュージシャンが使うMV生成AIがARR $5mを突破
ベルリン発のAIミュージックビデオ生成プラットフォーム「Neural Frames」が年間収益率(ARR)500万ドルを突破した。4万人超のミュージシャンが使い、すでに200万本以上のMVが生成された。音楽を作るコストがAIで下がった今、次の課題として浮かび上がる「届ける手段としてのビジュアル」——その需要が数字に表れている。
「何百万曲」は認める、でも「正確な数」は企業秘密——Sunoが学習データ件数の非公開を裁判所に求めた理由
UMGとSonyがSunoに対して起こした著作権訴訟で、Sunoが学習データの「正確な件数」を非公開にするよう連邦裁判所に申し立てた。理由は「競合他社に競争上の利益を与えるリスク」。数百万曲を使ったことは認めている。非公開にしたいのは、その正確な数字だけだ。
「持続可能な道が見つからなかった」——独立系ストリーミングNinaが閉鎖、AI時代のインディー音楽エコシステムに問う
アーティストが収益を100%保持できるインディー向け音楽配信サービス「Nina Protocol」が、5年の活動を終えて閉鎖する。コミュニティ型収益分配、Merlinとのパートナーシップ、オープンソースコード——試みたことの多くは正しかった。それでも「持続可能な道」は見つからなかった。SpotifyがますますアルゴリズムとAIに傾く今、この閉鎖は何を示しているのか。
「すべてのセッションにAIがある」——グラミー賞CEOが直面する、ルールと現実の乖離
グラミー賞を主催するRecording AcademyのCEOハービー・メイソン・ジュニアが語った。「最近参加したすべてのセッションにAIがある」——彼自身がジャネット・ジャクソンやビヨンセと組んできた伝説的プロデューサーだ。一方でグラミーのルールは「人間の創作がない作品は受賞資格なし」。この矛盾を業界のトップはどう受け止めているか。
TikTokで「テキストを歌にする」ブーム——SunoがApp Store首位に、AI音楽は「次のSnapchatフィルター」になるか
友人や家族とのLINE・DM・SMSをAI生成曲の歌詞に変換する「#texttosong」トレンドがTikTokで急拡大。Sunoは米英App Store音楽アプリ部門で一時1位を獲得し、専用機能まで急開発した。これはAI音楽が「ツール」から「遊び」に変わった瞬間かもしれない。
94%が使っているのに、若いクリエイターほどAIを避ける——Epidemic Soundの調査が示す世代間の断絶
クリエイターの94%がすでにAIを使用しているという数字の裏で、18〜24歳のZ世代クリエイターは35〜44歳より明らかにAI採用に消極的だ。「AIネイティブ世代」のほうがAIを避けるという逆説は、なぜ起きているのか。
コンテンツIDに詰められたら、AIで差し替えればいい——YouTubeの新機能が示す構造的変化
YouTubeが著作権クレームを受けたクリエイター向けに、AI生成楽曲で元の音楽をワンクリックで差し替えられる新機能を追加した。「AIが著作権問題の出口になる」という構造は、AI音楽サービス自体が著作権訴訟の被告である現状と奇妙に交差している。
「AIは奪わない、解放する」——パーキンソン病のミュージシャンがSunoとUdioで完成させたアルバム
ロンドンのアメリカーナ・シンガーソングライター、サミュエル・スミス(49歳)は2020年にパーキンソン病と診断され、ギターを演奏する能力を失っていった。そのスミスが新作アルバム『The Art of Letting Go』をSunoとUdioを使って完成させた。「AIは何も替えていない。解き放っているんだ」——その言葉の重みを考えてみたい。
UMGがアクマンの640億ドル買収提案を拒否——AI音楽の未来は誰が決めるのか
ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)が、投資家ビル・アクマン率いるパーシング・スクエアによる640億ドル(約9.4兆円)の買収提案を正式に拒否した。AI音楽の著作権問題の最前線に立つUMGの経営権がどこに留まるかは、Suno・Udio訴訟の行方や、今後のライセンス契約の方向性を大きく左右する。
YouTubeが「AI動画の自己申告」をやめた日——自動検出ラベリングが変えること
YouTubeが5月27日、AIコンテンツのラベル表示を刷新した。変化の核心は「自己申告制から自動検出制へ」の移行だ。クリエイターが申告しなくても、プラットフォーム側がAI生成を検知してラベルを貼る。AIで音楽ビデオを作っているクリエイターにとって、この変化は何を意味するのか。
AIが音楽を「聴いて」映像を作る時代——FreebeatはAI音楽制作の最後のピースになるか
SunoやUdioで曲を作っても、ミュージックビデオに仕上げるには結局手作業が残っていた。Freebeatはその問題を「音楽を分析してから映像を設計する」というアプローチで突破しようとしている。AI音楽制作ツールのエコシステムが「生成→流通→視覚化」と揃いつつある。
「私はファンクショナル音楽業界にいない」——UMGトップが引いた、AI音楽の境界線
Universal Music GroupのトップSir Lucian Graingeが、AI音楽をめぐる業界の立ち位置を一言で切り取った。「私はファンクショナル音楽業界にいない」——この宣言は何を意味するのか。ライセンス型AI音楽が加速する今、世界最大の音楽会社が描く「本物の音楽」の輪郭が見えてきた。
3万曲より3百万サンプル——SpliceがElevenLabsと組む意味
音楽制作プラットフォームのSpliceがElevenLabsとの提携を発表した(5月19日)。300万以上のライセンス済みサンプルを持つSpliceが「AIの基盤モデル」を手に入れる。Kits AI買収、UMG提携、そして今回——Spliceが静かに組み立ててきたものの輪郭が、見え始めている。
「slop」という言葉の重さ——AI音楽をめぐる罵倒・擁護・自家消費
「slop(スロップ)」という言葉がAI音楽の批判語として定着しつつある。ジャック・アントノフはAIクリエイターを罵倒し、一方でSpotifyのトップはAI音楽を「slopよりマシだ」と擁護した。自分でSunoで作った曲を自分だけで聴く——その行為はslopなのか。
ElevenLabs、Music v2を公開——部分編集・セクション構築・価格引き下げで「使える音楽生成」に踏み込む
ElevenLabsが2026年5月26日にMusic v2を公開した。インペインティング(部分再生成)、セクション単位のフルソング構築、多言語ボーカル強化が主な改善点。APIは最大50%値下げ。ライセンス済みデータのみで学習し、商用利用時のクリアランス問題を回避する設計を維持している。
560曲が6万1千曲になった——Sunoへの訴訟、ディスカバリーが明かした学習データの規模
音声指紋技術がSunoの学習データを解析した結果、UMG+Sonyが著作権侵害として申告できる楽曲数が560曲から6万1,026曲に膨れ上がった。同時期にUdioへの訴訟でも3万曲超が追加申請された。「何百万曲」という主張が、法廷で初めて具体的な数字に変わった週のことを整理する。
「ライセンス済み」が合言葉になった一週間——AI音楽は正規化の時代に入ったのか
今週、AI音楽界を動かした複数のニュースには共通する言葉があった——「ライセンス済み」。Stable Audio 3.0はライセンス済みデータで学習した。Udio Starstruckはライセンス済みの音楽だけを扱う。SpotifyのAIリミックスツールはUMGとのライセンス契約が土台にある。この収束は何を意味するのか。
Stable Audioの中心研究者がSpotifyへ——AI音楽の才能はどこへ集まっているのか
Stable Audioを生み出したStability AIのシニア研究者、Julian ParkerがSpotifyの「アーティストファーストAI」チームに移籍した。Stable Audio 3.0のリリース直後、SpotifyとUMGのAIリミックス契約締結の翌日というタイミングは偶然ではない。AI音楽研究の最前線が、独立系スタートアップから大型プラットフォームへと移行しつつあるのかもしれない。
SpotifyはAIコンテンツ生成機械になろうとしている——音楽を発見する場所が、音楽を作る場所になるとき
Spotifyが今週のインベスターデイで発表した一連のAI機能をまとめると、ひとつの方向性が見えてくる——音楽ストリーミングサービスが、AIによるコンテンツ生成プラットフォームへと変貌しつつある。AIカバー・リミックス解禁、AI音声ナレーション、AIパーソナルポッドキャスト、エージェント型デスクトップアプリ。その全体像が音楽リスナーと作り手にとって何を意味するのかを整理する。
Richie Hawtin×Endelの「Deeper Focus」が5年越しのアップデート——500万時間再生されたAI音楽の次の形
テクノのレジェンドRichie HawninとAIスタートアップEndelが2021年に共同制作した適応型サウンドスケープ「Deeper Focus」が、5年越しの新バージョン「Remastered and Reduced」として更新された。累計500万時間以上再生され、ADHDユーザーからも支持を集めてきたこの作品は、AI音楽が「一度作って終わり」ではなく「継続する創造物」になれることを示している。
UMGが48時間でAI条項つき契約を2本——TikTokとの新ライセンスが示す戦略
Universal Music Groupが5月22日、TikTokとのマルチイヤー・ライセンス更新を発表した。前日のSpotify/UMGのAIリミックス解禁合意に続く動きで、今回は「AIによる無許可音楽の除去」を条文に明記。48時間で2本のAI条項つき契約を結んだ背景には、業界ルールを先に書く側に回るというUMGの意図が透けて見える。
「自分の名前で知らない曲が上がっている」——MMFが公開したAI偽音楽対策5ステップ
UK音楽マネジメント団体MMFが、アーティストのストリーミングプロフィールにAI生成の偽曲が無断アップされる「デジタル・カッコウ」問題への対処法を5点ガイドとして公開した。3月にSpotifyが「Artist Profile Protection」を導入した直後の動きだ。「今年、ダムが決壊した」とMMO CEOは言う。
「AIから守る」側の動きが重なった一週間——No Fakes Act、Protect Musicians Act、MMFガイドが同時に出た意味
今週、AI音楽の「解禁」を告げるニュースが続いた裏で、人間アーティストを守るための動きも三つ同時に起きた。No Fakes Act改定版の再提出、Protect Working Musicians Act再提出、MMFによる「偽AI楽曲」対策ガイドの公開。同じ一週間に並んだのは偶然ではないかもしれない。
Udioが公開した「Starstruck」の詳細——ライセンス済みAI音楽で、ファンが曲を「作る」とはどういうことか
Udioが開発中の新アプリ「Starstruck」の全貌が明らかになった。Cover、Reimagine、Remix、Createの4モードで、ファンは参加アーティストの声やスタイルを使って曲を生成できる。著作権は権利者側が保持し、生成物はウォールドガーデンの外に出られない。「作り手になること」の定義が問われている。
Apple Musicへの投稿の3分の1がAI生成楽曲、でも聴かれているのは0.05%未満
Apple MusicへのアップロードのうちAI生成楽曲が3分の1を超えたが、実際の再生シェアは0.05%未満。Appleは「AIに依存しすぎた音楽は置けない」と警告を発したが、線引きと執行の仕組みはまだ不明確だ。
SpotifyとUMGが「AIカバー・リミックス」解禁へ——ライセンス型AI音楽の新しい地図
SpotifyとUniversal Music Groupが、ファンがAIでカバー・リミックスを作れるツールの開発に向け包括的ライセンス契約を締結。「同意・クレジット・補償」を掲げるこの動きは、SunoやUdioとは異なるアプローチでAI音楽の新しい枠組みを提示する。