先週の記事で取り上げたUdioの訓練データ封印申請に、早くも判事が動いた。

6月3日、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のAlvin K. Hellerstein判事は、一度認めたUdioの封印命令を取り消す決定を出した。

「被告の封印申立を認めた私の命令は、ここに取り消す」

たった一文の決定だ。


何が起きたか

Udoは先週の申請で、AIモデルの訓練に使ったオーディオファイルの「総件数」——社内で「Training Data Number」と呼ぶ一つの数字——を訴訟書類から削除するよう求めていた。理由は「競合他社がその数字を知れば、より速く安く同等のモデルを開発できる」というものだった。

裁判所はいったんその申請を認めたが、今回の決定でそれを撤回した。今後は「通常の手続きで封印の是非を争う」ことになる。つまり、件数を非公開にしたければUdioは改めて正式な手続きで申し立て直す必要がある。


今回明らかになった新事実

この決定と並行して、訴訟の書類から新しい事実も浮上している。

UdioはYouTubeの音声を訓練データに使っていた。

Udoは学習データの収集先としてYouTubeを使用していたことを認めている——ただし、それはフェアユースの範囲内だと主張している。

Suno/Udio訴訟が始まった当初、両社がどこからどう音声データを収集したかは明らかにされていなかった。ディスカバリーが進むにつれて輪郭が出てきた形だ。


訴訟の現在地

現時点での訴訟の状況を整理する。

  • Sony: Udioに対して30,000件超の著作権楽曲の追加申請を進めている。ドキュメント提出の期限は6月26日。
  • UMGとWarner: すでにUdioと和解・ライセンス契約を締結済み。現在、Sonyだけが主要レーベルとして訴訟を継続している。
  • 訓練データ件数: 封印が取り消されたことで、この数字が公開記録として残る可能性が高まった。Udoが再申立てをするか、それとも受け入れるかが次の焦点。

なぜこれが重要か

SunoとUdioが「訓練データの件数は企業秘密」と主張して封印を試みたことは、先週書いた通りだ。判事がその一つを取り消したことで、この「定石」が必ずしも通用するとは限らないことが示された。

同時に、YouTubeを訓練データの収集先として使っていたという事実は、今後の論点になりうる。YouTubeの利用規約はコンテンツのAI学習目的での使用を禁じており、フェアユースの主張がどこまで有効かは不透明だ。


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