韓国音楽著作権協会(KOMCA)は8月4日、AI補助で制作した楽曲の著作権登録を認める新方針を発表した。これまでKOMCAはAI関与楽曲の登録を「著作権紛争のリスクと明確な基準の欠如」を理由に停止していた。今回の方針転換は、K-POPシーンを支える著作権インフラが「AIと人間の協働」という現実に向き合った、アジア初の本格的な制度設計となる。

何が変わったか

新方針では、作詞・作曲・編曲のいずれかにおいて「人間が主導的かつ実質的な役割を果たしたと認められる楽曲」を登録対象とする。テキストプロンプトを入力するだけで自動生成された楽曲は引き続き対象外だ。

登録申請には、使用したAIツールの開示と、制作プロセスへの組み込み方の説明が義務付けられる。KOMCAがさらなる検証を必要と判断した場合、DAWプロジェクトファイル・編集履歴・楽譜・プロンプト記録・AI生成ログの提出を求めることができる。

「この改定は、AI補助による創作実践を公式に認めつつ、人間のクリエイターの権利を守ることを目的としている」とKOMCAは声明で述べた。

なぜ今重要か

KOMCAは韓国の5万5,000人以上の楽曲クリエイターを代表し、CISACを通じて110カ国以上に権利管理の決定が波及する組織だ。その方針転換は単なる国内問題にとどまらない。

タイミングも意味深い。7月30日にはIFPI(国際レコード産業連盟)が、公式チャートにおけるAI補助録音の扱いに関する原則を公表したばかりだ。KOMCAの動きはこの国際的な潮流と呼応しており、アジアからの発信として世界の議論を加速させる可能性がある。

「人間の関与」を証明するとはどういうことか

今回の制度で注目すべきは、登録申請者が制作過程の証跡を保持・提示できることを前提にしている点だ。プロンプト記録やAI生成ログの提出を求めうるということは、制作ドキュメントを残す習慣がなければ後から申請できないことを意味する。

フルAI生成と判明した楽曲や虚偽申請が発覚した場合、ロイヤリティの支払い停止・受領済みロイヤリティの返還・信託契約の解除に加え、故意または重大な過失があれば不正受領額の最大3倍の契約上のペナルティが科される可能性もある。「登録できるか」ではなく「証明できるか」が問われる時代になった。

論点

この方針に対する反応は一様ではない。AI音楽制作者からは「AI使用の透明性を確保しながら権利を守る現実的な枠組み」として評価する声がある一方、「何をもって『主導的』とみなすか」の解釈がKOMCA側に委ねられている点に不透明さを指摘する声もある。

既存のミュージシャン・コンポーザーからは、審査が形骸化しAI生成楽曲が事実上登録されてしまうリスクへの懸念も根強い。厳格なログ提出要件はその懸念への応答でもあるが、実際の審査運用がどうなるかは今後を見なければわからない。

作り手への示唆

AIツールを音楽制作に使っているなら、今日から制作ログを残しておく価値がある。国や管理団体が異なっても、「人間が何をしたか」を事後に証明できる記録は、今後の著作権申請における基礎になりうる。プロンプト、AIの出力、その後の編集——どこで自分の判断が入ったかを可視化しておくことが、制作の証跡になる時代がすでに始まっている。