Sunoがハッキングされ、YouTubeやDeezerから無断スクレイピングしていた事実が流出
Sunoのソースコードが流出し、YouTube Music・Deezer・Genius・Jamendoなどから数百万曲を無断収集していた具体的な実態が明らかになった。著作権訴訟が続く中、証拠の重みは無視できない。
AI音楽生成サービス「Suno」がハッキングを受け、内部ソースコードが流出した。7月15日に404 Mediaが報じたこの件では、Sunoが2023〜2024年にかけてYouTube Music・Deezer・Genius・Pond5・Jamendo・Freesoundなど複数のプラットフォームから楽曲データを大規模に収集していた事実が、コードに残るコメントや設定ファイルから確認された。
何が明らかになったか
流出したソースコードには、各データソースの具体的な収集規模が記録されていた。YouTube Musicだけで約201万3,545クリップ(113,879時間)、Geniusから17,615時間。「genius_hq, youtube_music, freesound, jamendo, imp, deezer, ytm_tagged」といったキーワードが処理パイプラインのコメントに並んでいる。スクレイピングされたデータは「非音楽コンテンツをフィルタリングして」学習に使われたとされる。
また、ユーザーデータも流出しており、数十万人分の顧客情報や決済情報が含まれていたと報告されている。
Sunoが「認めていた」こと
今回の流出が衝撃的なのは、Sunoがこれまで学習データの詳細を公開してこなかったためだ。ただし訴訟過程では、「オープンインターネット上で入手可能な、相当な品質を持つほぼすべての音楽ファイル」を学習に使用したとSuno側が認めている。
今回の流出は、その「ほぼすべて」の中身を初めて具体的に可視化したものとなった。
訴訟への影響
現在、RIAAはSunoとUdio(別会社)を著作権侵害で提訴している。Sunoはフェアユース(公正利用)を主な防御論として主張しており、2025年11月にはWarner Music Groupと和解済みだが、ユニバーサル・ソニーとの訴訟は継続中だ。
技術的証拠が乏しかった段階では「フェアユースかどうか」の議論に終始していたが、特定プラットフォームの名称・収集量・フィルタリング手順が具体的なコードとして示された今、法廷での論拠は変わる可能性がある。フェアユース判断の一要素である「市場への影響」を問う際、無断収集の規模は不利材料になりうる。
論点
もちろん、ソースコードの流出はハッキングによる不正取得であり、証拠能力には議論の余地がある。また、Webからのデータ収集が著作権侵害にあたるかどうかは、グーグルのSearch訴訟でも決着していない論点だ。
一方で、プラットフォーム側——特にYouTubeやDeezerの親会社であるソニーやUniversal——がこの情報を手にした事実は変わらない。Sunoが「フェアユース」を盾にする戦略がどこまで機能するか、今後の展開が注目される。
作り手・聴き手への示唆
Sunoは現在、IPO準備段階にあるとされ(MBW、2026年7月15日)、$54億という評価額、200万人を超える有料ユーザーを抱えている。この流出が法的にどう評価されるかに関わらず、Sunoというサービスの継続性は大きな問いを持ち直した。
AI音楽ツールを使って制作している人にとっては、「使っているサービスが誰のデータで動いているか」という問いが改めて現実のものになった出来事だ。
Source: Hack Reveals Suno AI Music Generator Scraped YouTube, Deezer, and Genius – 404 Media / Jason Koebler, Jul 15, 2026