生成AIを活用したミュージックビデオの公募コンテスト「AI MUSIC VIDEO WAVE 2026」が、2026年10月13日より始まった。主催は一般社団法人日本AI創造振興機構(JACIO)のコンテスト部門、Japan AI Creative Contest(JACC)。応募締切は11月3日(火・祝)23:59、結果発表は11月19日を予定している。

何が起きたか

応募はX(旧Twitter)への投稿で完結する。作品の長さは3分以内、参加資格は18歳以上。賞金総額は40万円で、グランプリ(MV賞)に15万円、協賛企業賞や審査員特別賞のほか、ジャンル・テーマ別に9つの賞(各1万5千円)が用意される。

審査員は音楽業界のプロ5名で構成される。元エイベックス取締役として初代trf・浜崎あゆみ・大塚愛らのプロモーションや「a-nation」プロデュースを手がけた阿部元博氏、ヴィジュアル系バンド「PENICILLIN」元メンバーのGISHO氏、アニメ主題歌でも知られる「THE SIXTH LIE」のギタリスト兼作曲家Reiji氏、オペラ歌手出身でゲーム音楽プロデュースを経験した長尾遊侑氏、JACIO理事でAI教育事業を手がける田中幸一郎氏の5名。追加審査員も予定されている。

ソース:AI MUSIC VIDEO WAVE 2026 特設サイト / PRTimes発表

なぜこれが重要か

「曲はできたのに映像が作れない」という問題は、インディペンデントな音楽制作者が長年抱えてきた壁だ。映像には撮影・編集・グラフィック・色彩設計といった複数の専門技術が必要で、一人で担うには限界があった。

生成AIはその壁を一部取り除いた。今回のコンテストは、その変化を正面から肯定したうえで、「何を選んで何を届けるか」という作り手の判断——感性と意図——を評価軸に据えている点が興味深い。AIが案をいくら出せても、「どの景色を選ぶか」は人間が決める、という設計だ。

審査員に音楽業界の現役・OBが揃っていることも見逃せない。「AI作品」を技術的な物珍しさとしてではなく、音楽・映像の文脈で評価しようという姿勢が、この人選から読み取れる。

論点・異なる見方

賞金40万円、応募はX投稿のみという設計は、参入障壁を意図的に低く設定している。それは裾野を広げる一方で、審査の物量管理やクオリティの担保という問題も生む。前回のJACC開催では2,000件超の応募があったとされており、今回も相当数の応募が見込まれる。

また、「生成AIを活用した」という条件の曖昧さも論点になりやすい。どこまでAIを使えば「生成AI作品」か、人間の手仕事との比率はどう判断するか——この種のコンテストが増えるにつれて、定義や審査基準の透明性がより重要になってくる。

今後どう展開しそうか

JACCはこれまで複数のAI創作コンテストを展開してきており、音楽・映像の分野への特化は今回が初の試みとなる。結果発表の11月19日以降、受賞作がどんな形の作品だったかが可視化されれば、「AI MVとはどういうものか」の共通認識をつくる材料になりそうだ。

一方、こうした国内コンテストが増えることで、AI音楽MV制作のコミュニティが育ち、ノウハウが蓄積されていく側面もある。制作技術よりも「何を表現したいか」が問われる場として機能するかどうかは、審査結果次第だろう。

作り手・聴き手への示唆

AI音楽を作っているが「映像まで手が回らない」と感じていた人にとって、これは明確に参加の機会だ。締切は11月3日。作品の長さは3分以内、X投稿のみで完結する。

応募ハッシュタグは #AIMUSICVIDEOWAVE2026、公式X: @JACC_AI