9月6日、韓国のストリーミングチャート「メロン」のTop 100に、AIが作った曲が初めて入った。

チャンネル登録者17万5000人超のYouTubeチャンネル「朝鮮ヒップホップ(Joseon Hiphop)」が5月にリリースした「마음의 숲(Forest of the Heart)」。作曲・ボーカルともにSunoで生成された。9月8日にはチャートを離れたが、同チャンネルの他の楽曲——「살았던 것처럼(As I Lived...)」「마음이라는 우물(A Well Called Heart)」「그냥 해(Just Do It)」——は現在もメロンのHot 100に入っている。

「サビに何かを命令する言葉ではなく、『ここまで来たんだから休んでもいい』という言葉を置いた。それが響いたんだと思う」とクリエイターは韓国メディアに語った。

なぜこれが注目されるのか

メロンは韓国最大の音楽ストリーミングサービスであり、K-POPグループでさえランキングを上げるのが困難とされる独自のチャートアルゴリズムを持つ。そのTop 100にAI生成楽曲が入ったことは、単なる技術的な話ではない。

興味深いのはリスナー層だ。同チャンネルの楽曲を聴いているのは40代が38%、30代が33%、20代が11%。K-POPの主戦場であるティーンから20代ではなく、働き盛りの世代がAI音楽を聴いている。疲弊感に寄り添う歌詞と、「お金をかけずに個人が作れる」という作り手の素朴さが刺さったのかもしれない。

著作権の空白

チャートに入っているにもかかわらず、朝鮮ヒップホップはこれらの楽曲で著作権使用料(印税)を受け取っていない。

韓国音楽著作権協会(KOMCA)は現在、AIが生成した音楽に著作権を認めていない。クリエイターが受け取れるのは「隣接権使用料」のみ——つまり、ストリーミングやラジオで使われたときに発生する実演・録音に近い権利だ。

8月3日、KOMCAは新たな指針を発表した。「人間が歌詞・作曲・編曲においてAIを使って積極的な役割を担った場合、その人間が制作した部分を著作権として登録できる」とするものだった。

しかしこの指針は施行されなかった。文化界からの反発を受け、文化体育観光部が「より広い議論が必要」として一時停止した。

論点

AIチャート入りをめぐる見方は複数ある。

K-POP産業の保護という観点からは、「AIがメロンの枠を侵食する」という脅威論が出やすい。実際、文化界が指針撤回を求めた背景には、ミュージシャンや作曲家たちの既存権利への影響を懸念する声があった。

一方で、今回の楽曲が支持された理由を見ると、「AIだから聴いた」という動機は薄い。クリエイターの言葉選び、ターゲット層へのリーチ、素朴な制作スタンスが支持を集めた。ツールが何であれ、聴衆が選んだという事実がある。

さらに言えば、韓国の指針撤回は「AIに著作権を与えない」という方向への意思表明でもある。EUのAI法による透明性義務や、日本のJASRAC指針などと比べると、韓国はまだ政策の輪郭が定まっていない段階だ。

今後の展開

朝鮮ヒップホップは現在、「Forest of the Heart」を人間のシンガーがカバーするリメイクプロジェクトを進めているという。AI版と人間版を並走させる判断は、現行の著作権制度への現実的な対応でもある。

KOMCAの指針が再び議論の俎上に乗るかどうかは、今後の政治的・文化的な動向次第だ。ただ、チャートに入った楽曲が存在する以上、「AIに著作権は関係ない」という状態をいつまでも維持できるわけではない。

作り手・聴き手への示唆

韓国でAI楽曲がチャート入りしたという事実は、「AIに音楽を作れるか」という問いではなく、「AIで作られた音楽が受け入れられるか」という問いへの答えの一つになった。少なくとも40代のメロンユーザーは、疲れた夜に朝鮮ヒップホップを再生した。

AI音楽に作り手が「意図」を持てるかどうかは、引き続き問われ続ける。ただ、聴き手はツールの種類よりも先に、その曲が自分に届くかどうかを判断する。


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