Suno v6、本日ローンチ——業界と連携して一から学習した初の世代、旧モデルを全廃
SunoがAI音楽モデルのv6ファミリーを本日リリース。WMG・BMG・Believeとのライセンス契約に基づく新データセットで最初から学習した初の世代。v6・v6-mini・v6-wildの3モデル構成で、旧モデルは全廃。ライツホルダーへのロイヤルティ分配も今日から始まる。
Sunoが本日(9月9日)、次世代AIモデル「v6」ファミリーの提供を開始した。最大のポイントは、これがWarner Music Group・BMG・Believeとのライセンス契約に基づく新しいデータセットで「一から学習した」初の世代であること。旧モデルはすべて退役し、ライツホルダーへのロイヤルティ分配も今日から始まる。
何が起きたか
v6ファミリーは3つのモデルで構成される。
- v6:最高品質。有料サブスクライバー専用
- v6-mini:無料ユーザー向け。より高速・高効率
- v6-wild:「探索のために設計された」バリアント。予測不可能で多様、実験的な結果を生むとされる
チーフ・プロダクト・オフィサーのJack Brodyは「これまでで最も強力な音楽制作ツール。より速く、より表現力豊かで、より高品質。そして音楽に対するコントロールをより深く与える新機能を多数搭載している」と述べた。
学習データについては「v6はゼロから学習している。以前のモデルと同じデータではない新しいデータセットを使っている」とBrodyは説明した。このデータセットにはWarnerからのライセンス楽曲・ユーザーデータが含まれ、BMGの楽曲も順次追加中。BelieveおよびTuneCoreのアーティストの楽曲も対象となる。
あわせて、v6のローンチをもってSunoは旧モデル(v1〜v4)をすべて退役させる。この方針は8月の時点で予告されていたものだ。
なぜこれが重要か
v6は「ライセンスされた音楽業界とともに作ったモデル」として登場する最初の世代だ。これまでのSunoが「無断で音楽を学習した」という訴訟を抱える中でリリースされる今回のモデルは、旧世代との法的な境界線を明確にする意味もある。
同時に、ロイヤルティの支払いが今日から始まることも大きい。「v6のロールアウトとともに、パートナーシップが正式に動き出し、収益の一部をパートナーと分配し始める」とBrodyは述べた。これまで「AI音楽は業界に金を払っていない」という批判が根強かっただけに、実際の分配が始まることは業界との関係性において一つのマイルストーンになる。
論点・異なる見方
気をつけるべきは、ライセンス契約がモデルの品質を直接向上させたわけではない、とBrody自身が述べている点だ。「パートナーシップをデータの問題、あるいはモデルを特定的に改善するものと捉えるのは誤りだ。モデルを優れたものにするのは技術的なブレークスルー、チームのテイスト、長年の積み重ね、アーティストやユーザーからのフィードバックだ」という。
つまり、ライセンスがあるからといって音楽的クオリティが飛躍的に上がるわけではなく、パートナーシップの本質は「新しいプロダクト体験を業界と一緒に作ること」だというのがSunoの立場だ。
また、旧モデルで作られたトラックをめぐるUMG・Sony Music Entertainment・MusicianらによるSuno訴訟は引き続き継続中。v6が「クリーンな出発点」を主張できるとしても、訴訟の行方はv6の存在だけでは変わらない。
今後どう展開しそうか
v6と同時にはリリースされないが、Sunoが次のステップとして計画しているのがリミックス機能だ。「アーティストがオプトインすれば、そのライブラリがリミックス体験に使えるようになる」とBrody。WMGおよびBMGのアーティストのうち誰がオプトインするかは、まだ明かされていない。
v6-wildというモデルが加わった背景には、AI音楽の「過適合(overfitting)」問題がある。ユーザーの好みに最適化されたモデルは「平均的」な音楽に収束していくという課題だ。この対策として実験的なモデルを用意したのは、技術的に興味深いアプローチといえる。
作り手・聴き手への示唆
v6-miniが無料ユーザーにも開放されることで、まず手を動かして試せる環境は変わらない。有料のv6でどれだけ質が変わるか、v6-wildがどんな音楽を生み出すかは、実際に使ってみてから判断すればいい。
よりマクロに見ると、Sunoが「ライセンスあり」と「ライセンスなし」の境界を意識的に引き、ロイヤルティ分配を開始した今日は、AI音楽が業界との摩擦を「折り合い」へと進めようとする過程の、一つの節目として記録されるだろう。ただし、それが本当に「新しい章」として機能するかどうかは、訴訟の行方と実際の収益分配の規模次第でもある。
ソース: Music Ally