ローンチから、92 日が経った。

第2回の透明性レポート(6月15日)から、ちょうど 33 日分の数字を、三度目のスナップショットとして公開する。同じ形のレポートは今回でひと区切り。ここから Rezonate は V2 の構想に向かうので、その理由も最後に書く。

今月のレポートの結論を先に書いておく。新規流入は明らかに減速、既存コア層は健全に定着。そのうえで、これまで持ちこたえてきた「発見」まわりの指標に、初めて陰りが見えた。

具体的には、

  • 楽曲は 1,838 → 2,128 曲(+290)、先月は +617
  • 登録ユーザーは 273 → 283 人(+10)、先月は +63
  • 再生ログは 11,935 → 13,310(+1,375)、先月は +4,756
  • 期間は 30 → 33 日とむしろ長いのに、伸びは軒並み数分の一
  • 他人に聴かれた曲の比率は 94.3% → 92.9% と、初めて低下
  • 急伸トラック(過去14日の他者再生)の Top は 26 → 7 と、1/4 に縮小
  • 一方でリテンションは D7 53.5% / D14 59.5% / D30 実数 101 → 116 人と、既存コア層は健全

サマリー

細かい数字に入る前に、今月の数字がクリエイターにとって何を意味するかを解説する。

新規流入は、明確に減速している

新規ユーザー数、投稿曲数、再生ログ、いずれも先月の数分の一ペース。期間はむしろ長いので、単純に「流入が細った」と読むほうが素直だ。ローンチから 3 か月、最初の「話題になった」勢いが落ち着き、次の獲得チャネルを整えていく段階に入っている。

「投稿しても届きにくくなっている」兆候が、初めて数字に出た

自分以外の誰かに聴かれた曲の比率が、94.3% → 92.9% に低下。前月比では小さい変化に見えるが、これまで規模拡大の中でもむしろ改善してきた指標なので、傾向が変わった意味は大きい。「投稿は増えたが、1 曲あたりに届く再生が薄まっている」状態。

急伸中の曲の勢いが、明らかに落ちている

過去 14 日の他者再生数で見る「いま伸びている曲」の Top が、26 → 7 に縮小。前々月は 28 だったので、この 2 か月で急伸曲の規模がおよそ 1/4 になった。突出したヒットが出にくくなっている。

上の2つを合わせると、「投稿は増えている一方、見つけてもらう仕組みが追いついていない」ということが、今月ようやくはっきり数字に出てきた、というのが今月の大きなトピック。

とはいえ、既存コア層は静かに厚くなっている

  • 16 曲以上を投稿している中堅〜ヘビー層は 40 → 45 人に増加
  • 31 曲以上の最ヘビー層も 10 → 14 人
  • リスナー D30 復帰は率は 66.9% → 64.4% に微減だが、実数は 101 → 116 人に増加
  • プレイリスト作成者比率は 7.0% → 7.8% に上昇

「離脱が増えた」わけではなく、「新規流入が減った」というのが今月の実態。今いる人たちは、静かに定着し続けている。

先月「気になる」と書いた数字は、今月も確定値で補正された

先月の W5–W6 コホートの一部復帰率(W+4 が 0.0% と見えていた等)は、観測窓が閉じきったことで W5 W+4 が 18.2%、W6 W+4 が 11.1% に上方修正された。月初のリテンション数字は過小評価されるという前月の観測が、そのまま再現された形になる。


ここから下は、上の結論がどこから出てきたか、数字としての裏付けを書く。読み流してもらってもいいし、興味のあるパートだけ拾い読みしてもらってもいい。


92日経過時点の数字、全体像と前月比

項目 今月 先月 増減
楽曲(公開) 2,128 1,838 +290
楽曲(全) 2,198 1,897 +301
登録ユーザー 283 273 +10
投稿した人 173(61.1%) 168(61.5%) +5
累計再生数 13,310 11,935 +1,375
公開楽曲の総再生数 16,735 14,682 +2,053
いいね 1,822 1,651 +171
コメント(有効) 515 446 +69
リポスト 288 252 +36
フォロー関係 710 687 +23
プレイリスト 32 23 +9
アルバム 86 78 +8
チャレンジ 23 22 +1
イベント 3 2 +1
イベントエントリー(総数) 58 57 +1

期間 33 日というスナップショットの中で、全項目の増分が先月比で明確に小さくなっている。特に登録ユーザー(+10)とフォロー関係(+23)の伸びの鈍化が目立つ。


投稿サイドの動き

日々の流れ

新規ユーザーと新規投稿曲の日次推移

日々の投稿曲数は引き続き積み上がっているが、新規ユーザーの日次発生は明らかに細っている。7月に入って以降、新規登録が出ない日も見られるようになった。

投稿者の分布

投稿者あたりの投稿曲数の分布

区分 投稿者数 比率
1 曲 33 19.1%
2–3 曲 27 15.6%
4–7 曲 39 22.5%
8–15 曲 29 16.8%
16–30 曲 31 17.9%
31 曲以上 14 8.1%

16 曲以上の中堅〜ヘビー層は 40 → 45 人にさらに増加。31 曲以上の最ヘビー層も 10 → 14 人。新規流入が細った一方で、既存投稿者が積み上げを続けているためヘッドは静かに厚くなっている。投稿者総数の伸び(168 → 173)が小さいのは、新規ユーザー自体が減っていることの裏返し。

上位投稿者が全投稿に占める割合

上位投稿者の曲数シェア

上位 投稿者数 累計曲数 全曲シェア
Top 10% 17 905 42.5%
Top 20% 35 1,326 62.3%
Top 30% 52 1,605 75.4%
Top 50% 87 1,913 89.9%
Top 80% 138 2,091 98.3%

集中度カーブは先月とほぼ変わらず。Top 10% がやや上振れ(41.8% → 42.5%)しているのは、新規投稿者が細って既存ヘッドの寄与比率が相対的に上がった結果。

続けて投稿してくれている人の割合

投稿者リテンション(週次コホート)

初投稿コホート週 人数 W+1 復帰率 W+2 復帰率 W+3 復帰率 W+4 復帰率
W0(4/15週) 69 30.4% 24.6% 29.0% 24.6%
W1(4/22週) 6 33.3% 33.3% 16.7% 0.0%
W2(4/29週) 28 35.7% 35.7% 25.0% 25.0%
W3(5/6週) 25 36.0% 12.0% 32.0% 0.0%
W4(5/13週) 8 50.0% 25.0% 12.5% 25.0%
W5(5/20週) 11 45.5% 45.5% 18.2% 18.2%
W6(5/27週) 18 38.9% 22.2% 5.6% 11.1%

先月のレポート時点では、W5 の W+4 は 0.0%、W6 の W+3 / W+4 は 0.0% と見えていた。観測窓が閉じきった今、W5 W+4 は 18.2%、W6 W+3 は 5.6% / W+4 は 11.1% に補正された。月初時点のリテンション数字は構造的に過小評価される、という先月の観測が、今月もそのまま再現された形になる。

裏を返すと、今月の直近コホート(W9 以降、母数 1〜3 人と小さく参考値)の低い数字も、来月の補正で上に動く可能性がある。判断はいったん保留、というスタンス。

なお、新規流入が細ったため、8 月以降のコホート人数は当面小さく推移する見込み。

1 曲投稿で止まった人

173 人の投稿者のうち、33 人(19.1%)は1曲を投稿したきり、まだ次の曲を出していない。先月の 20.2% からわずかに改善。彼らの曲の平均再生数は 7.68 → 8.09 と微増。「聴かれていないから止めた」というより「試し出しの後、様子見中」の層が中心、という前月の仮説は今月も変わらず。


再生の偏り

Top への集中は、さらに緩んだ

再生数の累積分布

  • 公開楽曲の総再生数: 16,735(先月 14,682、+2,053)
  • 最も聴かれている Top 10 曲のシェア: 3.0%(先月 3.4%)
  • 上位 10% の曲のシェア: 34.8%(先月 33.9%)
  • 上位 50% の曲のシェア: 84.0%(先月 83.1%)

Top 10 曲ですら、Rezonate 全体の再生数の 3.0% にしかならない。先月からさらに緩んだ数字で、突出したヒット曲が今月は出ていない、というのが数字上の状態。

これは Rezonate の設計思想(生メトリック非表示・流しっぱなしランダム再生)に沿った結果ではあるが、今月のように新曲の発見機会が細っている局面では、「発見されないから緩やか」という側面も混じっている可能性がある。次の項目で見る。

他人に聴かれた曲の比率が、初めて低下した

1,977 / 2,128 曲が、投稿した本人以外の誰かに少なくとも1回は聴かれている。92.9%(先月 94.3%)。

先月のレポートで「規模拡大下でも維持どころか微増した」と書いた数字が、今月は初めて低下した。楽曲は +290 曲増えたが、そのうち「誰にも聴かれない曲」の絶対数と比率がどちらも上がった。

92.9% という水準自体は依然として高い。ただし、これまで持ちこたえてきた指標が反転した意味は無視できない。「投稿は増え続ける一方、それを誰かの耳に届ける仕組みが追いついていない」——届きにくさが、数字として出てきた、というのが率直な読みだ。

投稿経過日数 vs 再生数

投稿経過日数と再生数の分布

時間の経過とともに再生が積み上がる構造は維持されているが、直近投稿の再生プロットの高さがやや低くなっている印象。次の急伸トラックのセクションで、そこはより明確に見える。


聴く側の動き

日々の聴き手

日次のユニークリスナー数

日常的に聴くリスナーの層は引き続きコンスタント。急激な伸びは止まり、緩やかに推移している。

1 リスナーあたりの再生数分布

1リスナーあたりの再生数分布

再生数レンジ リスナー数
1–5 58
6–15 35
16–30 19
31–60 24
61–100 17
101 以上 33

101 以上のヘビーリスナー層は 32 → 33 とほぼ横ばい。先月書いた「19 → 32」のような大幅拡大は止まり、リスナー側も伸びが落ち着いた。

セッションの動き

  • セッション総数: 2,612(先月 2,345、+11%)
  • 1 セッションあたりの曲数(中央値): 2(先月 2)
  • 1 セッションあたりの曲数(平均): 5.10(先月 5.09)

セッション数は緩やかに増加。1 セッションあたりの曲数は横ばいで、「一度開いたら数曲聴く」流れは変わらず維持されている。

戻ってくる人の割合

リスナーリテンション

対象 復帰 復帰率
D7 185 99 53.5%
D14 185 110 59.5%
D30 180 116 64.4%

D7 と D14 は先月とほぼ同水準(53.0% → 53.5%、59.4% → 59.5%)で高止まり。D30 の復帰率は 66.9% → 64.4% と微減しているが、対象母数が 151 → 180 人に拡大した中での数字で、実数の復帰は 101 → 116 人と増えている。

戻ってきたリスナーが定着する構造は今月も健在。新規流入が細った局面で、この既存コア層の粘りが数字を下支えしてくれている。


エンゲージメント

主要な数字だけ。

  • コメントが 1 件以上ある曲: 14.2%(先月 14.1%、ほぼ横ばい)
  • いいねが 1 件以上ある曲: 45.3%(先月 46.6%、−1.3pt)
  • いいねを押したことのあるユーザー: 36.4%(先月 36.6%)
  • リポストされた曲: 11.7%(先月 11.8%)
  • リポストしたことのあるユーザー: 10.6%(先月 9.9%)
  • フォロワーがいるユーザー: 49.5%(先月 49.8%)
  • 誰かをフォローしているユーザー: 41.0%(先月 41.0%)
  • プレイリストを作ったユーザー: 7.8%(先月 7.0%、+0.8pt)

いいね付き楽曲の比率は 46.6% → 45.3% とわずかに低下。いいねの絶対数は +171 と増えているが、投稿の増加ペースに追いついていない結果。B2(他人に聴かれた曲の比率)と同じ構造で、「反応が投稿の伸びに追いつかない」局面に入っている。

一方でプレイリスト作成者比率は 7.0% → 7.8% と続伸。曲数も 187 → 250 と増えた。キュレーション行動は数少ない明確な改善点で、聴く側が能動的に曲を並べる動きが育ちつつある。

そして、

  • チャレンジ曲は通常曲の約 2.9 倍の再生数(先月 2.8 倍、ほぼ同水準)
  • ライナーノーツありの曲は約 15% プラスの再生数(先月 16%、ほぼ同水準)

チャレンジ・ライナーノーツの優位性は、先月からほぼ同じ水準で安定。前月「縮小傾向」と書いたが、そこは今月止まった形。


機能の使われ方

機能利用率

機能 利用ユーザー数 全体に対する割合
投稿 176 62.2%
フォロー(着信あり) 140 49.5%
フォロー(発信あり) 116 41.0%
いいね 103 36.4%
チャレンジ参加 86 30.4%
イベントエントリー(参加ユーザー) 48 17.0%
アルバム作成 43 15.2%
リポスト 30 10.6%
プレイリスト作成 22 7.8%
イベント主催 2 0.7%

各機能の利用ユーザー数は軒並み微増(投稿 171→176、チャレンジ 82→86、いいね 100→103 など)だが、全ユーザー数の伸びが小さいため割合はほぼ横ばい。

イベント関連は、イベント数が 2 → 3 に増えた一方でエントリー総数は 57 → 58 と横ばい。1 イベントあたりの平均エントリーは 28.5 → 19.3 に低下していて、新しく増えたイベントへのエントリーは薄く、少数の人気イベントへの集中が続いている。前月「特定ユーザーとの実験的イベント」と書いた通り、機能としての一般的な定着はまだ判断できない状態。

投稿(62.2%)に対していいね(36.4%)・リポスト(10.6%)が低い構造は変わっていない。「作って出す人」のほうが「他人の曲に反応する人」より多い、という Rezonate 独特の状態は継続。


急伸トラック(過去 14 日 / self-play 除外)

直近 14 日で他者再生が伸びた上位曲のヒストグラム。

# 過去14日他者再生 投稿経過日数
1 7 11
2 6 13
3 6 40
4 5 59
5 5 68
6 5 14
7 5 13
8 5 8
9 4 13
10 4 31

Top の直近 14 日他者再生は、先月 26 → 今月 7。前々月は 28 だったので、この 2 か月で「勢いのある新曲」の再生規模がおよそ1/4 に縮小している。

これは B2(カバー率の初低下)と併せて、今月のいちばん強いシグナル。投稿は増えているのに、1 曲あたりに届く再生が薄まっていて、新曲が発見・拡散されにくくなっている。「届く」仕組みに手を入れない限り、この差は開き続ける構造にある、というのが素直な読み方だ。

投稿経過日数を見ると、上位に 40 日、59 日、68 日といった「少し古めの曲」が入っているのも特徴。新着だけがヒットしているわけではなく、少し前に投稿された曲が今月改めて再生を集めているケースが混じっている。

(個別の楽曲・投稿者の特定可能な情報は開示していない)


今月のまとめ

良い兆候(既存コア層の定着)

  • リテンション D7 53.5% / D14 59.5% で高止まり
  • D30 復帰の実数が 101 → 116 人に増加(率は微減だが母数拡大の結果)
  • 中堅〜ヘビー投稿者(16 曲以上)が 40 → 45 人
  • 31 曲以上の最ヘビー投稿者も 10 → 14 人
  • プレイリスト作成者 7.0% → 7.8%、プレイリスト内曲数 187 → 250
  • Top 10 曲の再生シェアは 3.4% → 3.0% とさらに緩和

注意したい兆候(新規と、届きにくさ)

  • 新規ユーザー +10 のみ(先月 +63、期間はむしろ 3 日長い)
  • 他人に聴かれた曲の比率が初めて低下(94.3% → 92.9%)
  • 急伸トラックの Top が 26 → 7 に縮小(前々月 28 から見て 1/4)
  • いいね付き楽曲比率もわずかに低下(46.6% → 45.3%)

おわりに

透明性レポートは今回で第3回。ローンチから3か月分の数字を、同じ形で3度並べてきた結果、今の Rezonate の実態はかなりはっきり見えたと思う。

見えたことを整理すると、Rezonate は「投稿できる」場所としてはちゃんと機能した。投稿即埋没は起きていないし、既存コア層は健全に定着している。一方で今月はっきり出てきた通り、「見つけてもらえる/届く」ところに構造的な課題が残った。新規流入の鈍化、他人に聴かれた曲の比率の初低下、急伸トラックの縮小。3か月分の数字を並べてみて、V2 で解決すべき問いはここだ、という結論に自分の中では至った。

というわけで、Rezonate はここから V2 に向けた構想フェーズに入ります。具体的な設計はまだこれからで、確定的なことは書ける段階にはありませんが、大きな方向性としては、これまで作ってきた「投稿できる」の上に、V2 では「出会える」を積むイメージです。今月の数字ではっきりしたように、「作れる」から「見つけてもらえる/届く」への軸足の移動が、次の Rezonate に必要な変化だと考えています。

方向性としては構想フェーズですが、V2 の全体設計を待たずに確実に手を入れると決めているものも書いておきます。

  • 音源保護の仕組みを強化する
  • サイト全体の高速化
  • リスニング体験そのものの向上
  • 曲の探しやすさ・見つけやすさの改善

いずれも地道に、順次進めていく予定です。

なお、V1 から続く思想として「数字ではなく作品を見る」という軸があります。リスナー側に生メトリック(再生数・いいね数など)を出していない今の設計はこの思想の一部で、V2 でもここは維持するつもりです。

同じ形の月次レポートは当面ここで区切りにして、V2 の設計プロセスや進捗は、別の形で共有していければと考えています。

反省点も正直に書いておきます。ローンチからここまで、運営側の発信はかなり不足していました。裏側でバグ修正などの地道な仕込みは続けていたけれど、Rezonate 自体を知ってもらう動き——マーケティングや、コミュニティが自然と盛り上がる仕組みを整えるところ——には、ほとんど手が回っていませんでした。今月の「新規流入の鈍化」は、Discovery の課題である以前に、そもそも Rezonate を届ける機会を作っていなかった、という運営側(つまり僕)の宿題でもあります。V2 ではプロダクトの構造と並行して、この「盛り上がる仕組み」も含めて考えたい。

3か月にわたって数字を見に来てくれた読者の方、そして毎月このレポートに登場してくれているクリエイターとリスナーのみなさん、ありがとうございました。これまで「投稿しても大丈夫な場所」を作ってくれたのはみなさんです。V2 では、その上に「作品にちゃんと出会える場所」を作ります。ここからしばらくは、そこに集中します。